竹せいろの変形について
2025年10月14日― 竹が生きている証 ―
「使っているうちに少し歪んできた気がする」
そんなお声をいただくことがあります。
けれど、それこそが竹せいろの魅力の一部なのです。
竹は伐採された後も、木と同じように呼吸を続けています。
湿気を吸えば膨らみ、乾けば縮む。
熱を受ければ柔らかくなり、冷めれば固くなる。
つまり竹は、まるで生き物のように季節や環境と一緒に変化しているのです。
竹せいろは、この自然のリズムのなかで形を整えながら使う調理道具。
金属やプラスチックのように“完璧に固定された形”ではなく、しなやかに動いて、馴染んで、また戻る。それが天然素材の証です。
使うほどに竹が手に馴染み、香りが柔らかくなり、蒸気の通りも良くなっていきます。
つまり「変形」とは劣化ではなく、竹が環境に順応していく過程なのです。
これが、ひとつひとつ職人が手で組み上げた竹せいろの味わい。
形が少し違っても、それはあなたの手元の環境に竹が“生きて”いる証。
自然のままの変化を、どうぞ楽しんでいただければ幸いです。
