🌿 せいろのある暮らし コラム Vol.6 「ごはんを作る」が、「蒸しておく」に変わった。
2026年9月1日毎日のごはんづくり。
以前は、夕方になるといつも、
「今日は何を作ろう」
と考えていました。
冷蔵庫を開けて、献立を考えて。
足りないものがあれば買い物をして。
切って、焼いて、煮て。
その横でもう一品作って。
食べ終わったら、フライパンや鍋を洗う。
料理そのものよりも、
ごはんを作るために考えている時間のほうが、疲れる。
そんな日もあります。
せいろを使うようになってから、
その感覚が少し変わりました。
「何を作ろう」ではなく、
「何を蒸しておこう」
と考えるようになったんです。
とりあえず、冷蔵庫を開ける。
せいろを使う日は、献立が決まっていないこともあります。
冷蔵庫を開けて、
キャベツがある。
きのこが少し残っている。
豚肉もある。
じゃあ、今日はこれを蒸そう。
そんな感じです。
料理名は、なくてもいい。
キャベツの上に豚肉をのせて、
空いているところにきのこを入れる。
あとは、お湯を沸かしてせいろをのせる。
湯気が上がっているあいだに、
食卓を片付けたり、
洗い物をしたり、
ちょっと座ったり。
「料理をしている」というより、
晩ごはんができるのを待っている。
そんな感覚に近くなりました。
味付けは、あとからでもいい。
以前は、
「今日は何味にしよう」
ということまで、料理を始める前に決めていました。
でも蒸し料理なら、
とりあえず蒸してから考えてもいい。
ポン酢。
ごまだれ。
塩。
オリーブオイル。
その日の気分で、食卓に並べればいい。
家族それぞれが好きなものをかけてもいい。
ひとつの料理を完成させてから食卓に出すのではなく、
食卓で完成させる。
そう思うようになってから、ごはんづくりが少しラクになりました。
「ついでに蒸しておく」が便利だった。
せいろを使っていて、もうひとつ増えた習慣があります。
それが、
「ついでに蒸しておく」こと。
今日食べる野菜の横に、
かぼちゃを少し。
さつまいもを少し。
冷蔵庫に残っていた野菜を少し。
一緒に蒸しておきます。
全部をその日のうちに食べなくても大丈夫。
あとでサラダにしたり、
翌日の一品にしたり。
「作り置きをしよう」
と思うと少し気合いが必要だけれど、
今日のごはんのついでなら、できる。
この違いは、思っていたより大きいものでした。
ちゃんとした献立じゃなくてもいい。
ごはんには、
主菜があって、
副菜があって、
汁物があって。
なんとなく、そんな「ちゃんとした形」を考えてしまうことがあります。
もちろん、そういう食卓も素敵です。
でも毎日じゃなくてもいい。
豚肉と野菜を蒸して、
ごはんとお味噌汁。
今日はそれだけ。
そんな日があってもいいと思うんです。
温かいものを食べられて、
野菜も食べられて、
お腹いっぱいになった。
それなら、十分。
せいろを使うようになってから、
「ちゃんと作る」の基準が、少しやさしくなった気がします。
秋は、「蒸しておく」がちょうどいい。
9月になると、
さつまいもやかぼちゃ、きのこ、れんこんなど、
蒸したくなる食材が少しずつ増えてきます。
昨日はさつまいも。
今日はきのこ。
明日は、鮭と一緒に。
旬の食材をひとつ加えるだけで、
いつものせいろも少しずつ秋の景色に変わっていきます。
難しい秋レシピを覚えなくても、
季節のものを、ひとつ蒸してみる。
それくらいが、毎日の暮らしにはちょうどいいのかもしれません。
「今日、何作ろう?」から少し離れてみる。
夕方。
冷蔵庫の前で、
「今日、何作ろう……」
と止まってしまったら。
料理名を考えるのを、一度やめてみる。
冷蔵庫にあるものを見て、
「これ、蒸してみようかな。」
それだけ決める。
あとは切って、並べて、蒸す。
湯気が上がってきたら、
今日もなんとか晩ごはんになりそうです。
毎日の料理を劇的に変える必要はないけれど、
考えることを、ひとつ減らす。
洗い物を、ひとつ減らす。
頑張ることを、ほんの少し減らす。
そんな小さな変化も、
「せいろのある暮らし」なのだと思います。
明日のごはんも、
ちゃんと作らなくていい。
とりあえず、蒸しておこう。
それくらいから始めてみませんか。
吉冨士編集部より